Wards Worse@不定域イデアル研究所

数学&物理学の専門書のレビュー

ルベーグ積分入門(新装版) (数学選書)

ルベーグ積分入門(新装版) (数学選書)

 『解析概論』のルベーグ積分の章より濃い内容です。
「加法族」だとか「測度」だとか、新しい用語が並びますが、主な具体例は『解析概論』の微積分であって、その一般化だと思えば、イメージが湧くと思います。
「無限次元ベクトル空間」は、基底が可算個並んだ上の”波”をイメージすると、量子力学の『波動関数』へ類推できるでしょうか……「一様ノルム」と「有界収束定理」と連想します。
 

月刊『大学への数学』 東京出版

大学への数学 2020年 12 月号 [雑誌]

大学への数学 2020年 12 月号 [雑誌]

  • 発売日: 2020/11/20
  • メディア: 雑誌
 
理系で偏差値高めの大学を目指す受験生向け。
『学コン』で満点を取れる秀才の方々に憧れる。数学オリンピックの選抜者も凄い。
一日一問×各単元をこなせるとよい。そうすれば、数学・物理学の専門書も一日一頁でも読み進める習慣ができ、一年に一冊読破できる。

『定本 解析概論』岩波書店 高木貞治(著)

定本 解析概論

定本 解析概論

  • 作者:高木 貞治
  • 発売日: 2010/09/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 
言わずと知れた名著。何度増刷されたか分からない。初版→改訂版→軽装版→定本と重版出来されてきた。
微分のことは美文でしなさい』と仰ったとかないとか。
 
ε-δ論法』に慣れてくると、理学部の学生らしくなる。
『Lebesgue積分』『関数論』の入門もあるので、コストパフォーマンスがいい。
 
ところで、旧暦から新暦に改正されたのは1873年らしい。さすが、岩波書店。ご飯は岩並? お堅いことで……咀嚼しがいがある。

"On Quaternions and Octonions” A K Peters/CRC Press, John Horton, Conway Derek Smith

On Quaternions and Octonions by John Horton Conway Derek Smith(2003-01-23)
 
下記に前掲した『四元数八元数』の原著。
邦訳は手に入りづらいので、数学英語ができる人に向けて。
 

『四元数と八元数』 培風館 J.H. コンウェイ (著) D.A. スミス (著) 山田 修司 (翻訳) 

四元数と八元数―幾何、算術、そして対称性
 
一意分解可能な虚2次体の類数は、散在型有限単純群モンスターの線形表現の次数と、2次形式? みたいな関係式が成り立つのに気づく。
四元数から八元数に拡張していくと、可換体が非可換になり、結合律の公理が外れていく。
"Theoritical"  というより "Theological" な数学が広がる独特な一冊です。
 
 

『線型代数学』 裳華房 佐竹一郎(著)

線型代数学(新装版) (数学選書)

線型代数学(新装版) (数学選書)

  • 作者:佐武 一郎
  • 発売日: 2015/06/05
  • メディア: 単行本
 
初版から増補改題を経て新装版として重版出来しているベストセラー。
証明の行間を埋めながら読むのは難度が高め。
章末の研究課題に、Lie 代数や表現論の初歩が載っている。
数学科や物理学科の学生ならば、読みこなせるべきだが、他学科の学生は『明解線形代数』をオススメする。

 

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『明解線形代数』 木村達夫・竹内光弘・宮本雅彦・森田純(著) 日本評論社

明解線形代数 改訂版

明解線形代数 改訂版

 
筑波大学の教官の方々が執筆したテキスト。ジョルダン標準型の節はとても分かりやすい。